Ads by Google
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--/-- --:-- | スポンサー広告
舞城王太郎 「煙か土か食い物」、「阿修羅ガール」、「好き好き大好き超愛してる。」
矢作俊彦 「悲劇週間」
古井由吉 「漱石の漢詩を読む」
吉田秀和 「私の時間」
種村季弘 「アナクロニズム」
支倉凍砂 「狼と香辛料勝

*

玄関に来ると同宿の浴客が大勢並んで、左右から白い輿を目送していた。い ずれも葬式の時のように静かに控えていた。余の寐台はその間を通り抜けて 、雨の降る庇の外に担ぎ出された。外にも見物人は沢山いた。やがて輿を竪 に馬車の中に渡して、前後相対する席と席とで支えた。予かじめ寸法を取っ て拵らえたので、輿はきっしりと旨く馬車の中に納った。馬は降る中を動き 出した。余は寐ながら幌を打つ雨の音を聞いた。そうして、御者台と幌の間 に見える窮屈な空間から、大きな岩や、松や、水の断片をありがたく拝した 。竹薮の色、柿紅葉、芋の葉、槿垣、熟した稲の香、凡てを見るたびに、な るほど今はこんなもののあるべき季節であると、生れ返ったように憶い出し ては嬉しがった。更に進んでわが帰るべき所には、如何なる新らしい天地が 、寐ぼけた古い記憶を蘇生しむるために展開すべく待ち構えているだろうか と想像して独り楽しんだ。同時に昨日まで彽徊した藁布団も鶺鴒も秋草も鯉 も小河も悉く消えてしまった。


*

Mozart/Brahms: Clarinet Quintets (David Shifrin, Emerson String Quartet)
02/08 20:43 | 未分類
CD紹介

 ひじょうに豊富なディスコグラフィーのなかでも頂点に君臨するのが、ピエール・モントゥーがフィリップスに録音した《ボレロ》《マ・メール・ロワ》《ラ・ヴァルス》と、同じ指揮者によるデッカの《ダフニスとクロエ全曲》《スペイン狂詩曲》《亡き王女のためのパヴァーヌ》、またミュージック・アンド・アートというレーベルの《シェエラザード》である。これらはすべて自信を持ってお勧めできる。《ダフニスとクロエ第二組曲》では、グィド・カンテルリ[カンテッリ]指揮によるテスタメント盤と、トスカニーニのBMG盤があり、またトスカニーニはラヴェルが編曲したムソルグスキーの《展覧会の絵》も録音している。フランスEMIから再発売された、マルセル・マイアー[メイエ]のピアノ作品の録音も傾聴に値する。ヤッシャ・ハイフェッツが、一九三四年にアルパド・サンドール[アルペイド・シャンドール]の伴奏でBMGに録音した《ツィガーヌ》は驚愕すべきもの。ワルター・ギーゼキングが一九二九年に録音した《夜のガスパール》は、このドイツ人ピアニストの《道化師の浅の歌》とともに、パール・レーベルから復刻されている。ディヌ・ラペッティ[リパッティ]がEMIに吹きこんだ《道化師の朝の歌》も魔術的だ。他のピアノ演奏の決定盤としては、ロベール・カザドシュ[カサドシュ]とジャック・フェヴリエのもの<→1/2>}がEMIから発売されている。ラヴェルの歌曲としては、ガブリエル・パンキエ[バキエ]、ジョゼ・ヴァン・ダム、フェリシティ・ロト[ロット]の演奏がEMIから発売されている。ヴァイオリンの若き名手クリスティアン・テツラフは、ピアノの天才、ライフ・オヴェ・アンドセンス[レイフ・オヴェ・アンスネス]の伴奏で《ヴァイオリンソナタ》をヴァージン・レーベルに録音している。エルネスト・アンセルメの《子供と魔法》はテノールのユーグ・キュエノーが出演していることでも貴重だ。作曲家の知己で、彼から評価されていたマドレーヌ・グレイジャヌ・バトリマルシャル・ザンゲ[マルシアル・サンゲル]などといった歌手も、彼の作品を録音しており、これらはたいていマイナー・レーベルのものだが、聴いてみるに値する。同じことがカルヴェ五重奏団の《序奏とアレグロ》についてもいえ、これはフルート奏者のマルセル・モイーズとラヴェル弦楽四重奏団のメンバーらによる演奏だ。長らく待たれていた、ロンドン・レコード原盤の、ペドロ・デ・フレイタス・ブランコ指揮による管弦楽作品集もCDで再発された。同じく待たれていた、ガブリエル・ピエルネワルター・ストラーラム[ストララム]フィリップ・ゴベールといった指揮者たちによるCDも再発売されている。こんにちでは、これら三人の古き巨匠のようにラヴェルを深く理解している指揮者はほとんどいない。


ベンジャミン・イヴリー『モーリス・ラヴェル ある生涯』(アルファベータ、2002年)。
[ ]内は日本語検索でヒットしやすい表記。
なお、著者が紹介している演奏の多くはCascavelle Recordsから出ていたMaurice Ravel: Son oeuvre et son temps全三集に収められている。<→1/2/3>
02/02 20:26 | 未分類
template design by takamu
Copyright © 2006 neqe All Rights Reserved
FC2ブログ