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CD紹介

 ひじょうに豊富なディスコグラフィーのなかでも頂点に君臨するのが、ピエール・モントゥーがフィリップスに録音した《ボレロ》《マ・メール・ロワ》《ラ・ヴァルス》と、同じ指揮者によるデッカの《ダフニスとクロエ全曲》《スペイン狂詩曲》《亡き王女のためのパヴァーヌ》、またミュージック・アンド・アートというレーベルの《シェエラザード》である。これらはすべて自信を持ってお勧めできる。《ダフニスとクロエ第二組曲》では、グィド・カンテルリ[カンテッリ]指揮によるテスタメント盤と、トスカニーニのBMG盤があり、またトスカニーニはラヴェルが編曲したムソルグスキーの《展覧会の絵》も録音している。フランスEMIから再発売された、マルセル・マイアー[メイエ]のピアノ作品の録音も傾聴に値する。ヤッシャ・ハイフェッツが、一九三四年にアルパド・サンドール[アルペイド・シャンドール]の伴奏でBMGに録音した《ツィガーヌ》は驚愕すべきもの。ワルター・ギーゼキングが一九二九年に録音した《夜のガスパール》は、このドイツ人ピアニストの《道化師の浅の歌》とともに、パール・レーベルから復刻されている。ディヌ・ラペッティ[リパッティ]がEMIに吹きこんだ《道化師の朝の歌》も魔術的だ。他のピアノ演奏の決定盤としては、ロベール・カザドシュ[カサドシュ]とジャック・フェヴリエのもの<→1/2>}がEMIから発売されている。ラヴェルの歌曲としては、ガブリエル・パンキエ[バキエ]、ジョゼ・ヴァン・ダム、フェリシティ・ロト[ロット]の演奏がEMIから発売されている。ヴァイオリンの若き名手クリスティアン・テツラフは、ピアノの天才、ライフ・オヴェ・アンドセンス[レイフ・オヴェ・アンスネス]の伴奏で《ヴァイオリンソナタ》をヴァージン・レーベルに録音している。エルネスト・アンセルメの《子供と魔法》はテノールのユーグ・キュエノーが出演していることでも貴重だ。作曲家の知己で、彼から評価されていたマドレーヌ・グレイジャヌ・バトリマルシャル・ザンゲ[マルシアル・サンゲル]などといった歌手も、彼の作品を録音しており、これらはたいていマイナー・レーベルのものだが、聴いてみるに値する。同じことがカルヴェ五重奏団の《序奏とアレグロ》についてもいえ、これはフルート奏者のマルセル・モイーズとラヴェル弦楽四重奏団のメンバーらによる演奏だ。長らく待たれていた、ロンドン・レコード原盤の、ペドロ・デ・フレイタス・ブランコ指揮による管弦楽作品集もCDで再発された。同じく待たれていた、ガブリエル・ピエルネワルター・ストラーラム[ストララム]フィリップ・ゴベールといった指揮者たちによるCDも再発売されている。こんにちでは、これら三人の古き巨匠のようにラヴェルを深く理解している指揮者はほとんどいない。


ベンジャミン・イヴリー『モーリス・ラヴェル ある生涯』(アルファベータ、2002年)。
[ ]内は日本語検索でヒットしやすい表記。
なお、著者が紹介している演奏の多くはCascavelle Recordsから出ていたMaurice Ravel: Son oeuvre et son temps全三集に収められている。<→1/2/3>
02/02 20:26 | 未分類
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